長く続く猫ブームの影響で、猫への関心がこれまでになく高まっています。かわいさに注目が集まる一方で、殺処分される子猫が多かったり、遺伝性疾患を持って生まれてくる純血種の猫が人気だったり、猫を巡る様々な課題も顕在化しています。「ニャン・ニャン・ニャン」と読めることから「猫の日」とされる2月22日、朝日新聞社ではオンラインで、記者イベント「『猫の日』に考える 日本の猫たちのこと」(協賛・花王)を開きました。長く動物愛護活動に携わっている俳優の浅田美代子さん、保護猫カフェ「ねこかつ」代表の梅田達也さん、文化くらし報道部の太田匡彦記者が語り合いました。内容の一部を紹介します。司会は「sippo」の磯崎こず恵編集長が務めました。
コロナ禍で増える飼育数
日本国内の猫の推計飼育数は2014年に842万5千匹となり、犬(820万匹)を逆転(ペットフード協会調べ)。コロナ禍で猫に癒やしを求める人が増えたことで、新たに飼われるようになった猫は20年が46万匹、21年が48万9千匹と、例年に比べて10万匹ほど多い水準になった。犬に比べて増加傾向は顕著で、21年時点の推計飼育数は犬710万6千匹に対して猫894万6千匹と差を広げている。こうした猫ブームに浅田さんは「子猫のほうが多く展示されているペットショップも出てきていて、『猫は犬より世話が楽』などと宣伝しているところもある。でも、コロナ禍で新たに飼われた猫で、もう捨てられてしまっている子がたくさんいる」と警鐘を鳴らす。
20年度時点で、全国の自治体における殺処分数は減少傾向のままだが、離乳前の子猫の殺処分数は思うように減っていない。殺処分された犬猫のうち5割を子猫が占める状況が続いている。猫の保護活動に日々あたる梅田さんは「殺処分数は減ってきているが、行政に収容される前に動物愛護団体が保護するような事例は増えており、状況が改善していると一概には言えない。離乳前の乳飲み子は数時間おきの授乳が必要だが、自治体職員の手が足りず、多くの自治体で即日殺処分になっている。『かわいそうな子』は減っていないので、そのために多くの団体がTNR活動などに取り組んでいる」と話す。
記事末尾に記者イベント動画
記事の末尾で、2月22日にあった記者イベント「『猫の日』に考える 日本の猫たちのこと」の様子を動画でお伝えします。
TNR活動とは野良猫を捕獲(Trap)して不妊・去勢手術(Neuter)をし、元の場所に戻す(Return)取り組み。野良猫を地域で見守る地域猫活動の一環として行われている。殺処分される「不幸な命」が新たに生まれないようにし、野良猫たちには一代限りの生をまっとうしてもらおうという狙いがあるという。
こうしたなかで、純血種の猫…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル